ホルムズ海峡近くを航行するタンカー

 イランが船舶を攻撃しているホルムズ海峡の安全を巡り、米国のトランプ大統領が護衛のための艦船派遣を要求するなど関係国を巻き込み始めた。各国が機雷敷設への警戒を強める中、イランは敷設を肯定も否定もせず、心理戦で世界経済をさらに揺さぶる戦略とみられる。

「ホルムズ海峡は完全にイランが支配している。トランプはイランの海軍を破壊したと言ったが、なぜ米海軍を送り込まないのか」

 イランのタスニム通信は15日、精鋭軍事組織「革命防衛隊」報道官のコメントを伝えた。イランは、事前調整すれば、米イスラエルに関係しない船舶の海峡通過は認めるとの方針を示している。海上の警察官を自任し、航行の安全保障の主導権を握るもくろみだ。

イランの軍関係者は、ホルムズ海峡の封鎖を認めたり認めなかったりと曖昧な見解を表明しながら、「米イスラエル関連の船を標的にした」などと主張して船舶を攻撃しており、海峡は事実上、封鎖されている。

 報道官は6日、機雷についても敷設したかどうかを明言せず、「1987年のスーパータンカー『ブリッジトン』事件を思い出すことを勧める」と脅している。イラン・イラク戦争(80~88年)では、両国がペルシャ湾を航行するタンカーを攻撃し、「タンカー戦争」と呼ばれた。米海軍が船舶の護衛を始めたが、87年7月、護衛第1号となったタンカー「ブリッジトン」は米海軍の艦船3隻が護衛中に機雷の被害を受け、米海軍は出ばなをくじかれた。

 報道官がこの事件に言及した後、米CNNはイランがホルムズ海峡に機雷の敷設を始めたと報じ、米中央軍は10日、イランの機雷敷設艦16隻を破壊したと発表した。イランは機雷敷設に関して沈黙を保っているが、米国が敏感に反応したことで、機雷の恐怖を国際社会に認識させる目的は達成したと言える。