| ユニクロが手がけたゴルフ日本代表のユニホーム(右端)や、中学・高校の制服など |
個人向けファッション商品を手がけてきたアパレル大手が、企業や団体向け事業を強化している。一度に大量の受注が見込める制服やユニホームなどの販売に力を入れるほか、店舗の開発・運営ノウハウを生かそうとする企業もあり、各社が知恵を絞っている。
ニクロを展開するファーストリテイリングは、法人・団体向け部署の担当者を増強した。ユニクロのフリースやパーカ、ジャケットに、刺しゅうやプリントで企業ロゴや校章などを入れるサービスなどを推進する。
ユニクロは2019年にスウェーデンオリンピック・パラリンピック委員会とパートナーシップ契約を結び、スキーやカーリングなどの競技団体とも提携して公式ウェアを提供している。経験を生かし、動きやすさと着心地、デザイン性を兼ね備えた制服やユニホームなどを提供できるとしている。柳井康治取締役は「中核事業の一つになるチャンスのあるビジネスだ」と話す。
大手セレクトショップ「ユナイテッドアローズ」は24年、茨城県境町と協定を結び、町職員の制服や小中学校の体操服を製作した。「出店が難しい地域でも認知度を広げるチャンス」として、今後も自治体向けビジネスを進める。
「アンタイトル」「タケオキクチ」などのブランドを持つワールドは、他社の店舗運営や接客販売の代行を請け負っている。百貨店やショッピングセンターなどで店舗運営している経験を生かした取り組みで、チョコレートメーカー「ゴディバ」などの異業種を含む約40社に担当者を派遣している。「裾野が広がり、成長余地が大きい」(広報担当)として、法人向け事業の拡大を進める。
アンドエスティホールディングスは、住宅・マンションのデザイン監修などを行う。「ニコアンド」など数千店を開発・設計したノウハウを持つとPRする。水戸市で公園整備を行うことも今月発表した。
総務省の家計調査によると、1世帯(2人以上)あたりの「被服・履物」の年間支出額は2024年に11万9822円で、04年(17万1777円)から約30%減った。少子高齢化や低価格量販店の増加などが背景にある。
矢野経済研究所の松井和之・主席研究員は、アパレル企業が法人向け事業に力を入れている背景について、「国内市場の縮小が中長期的には避けられない中、既存の経営資源を活用し、売り上げ拡大を図る動きだ」と指摘している。