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world-robot-senses-idw1664 視覚と嗅覚が1.5mmに合体!ハエの能力を持つ「極小センサー」がロボットの常識を変える

2026/2/21 6:50:00 公開

SF映画のような話ですが、ハエの能力をコピーした極小センサーが誕生しました。わずか1.5ミリのチップに「パノラマの視界」と「危険な匂いをかぎ分ける鼻」の両方が詰め込まれています。この技術があれば、災害現場など人間が入れない場所で活動するロボットが、劇的に進化するかもしれません。

🪰 1.5ミリの空間に「1000個の目」

昆虫の「ショウジョウバエ」をヒントにした、画期的なセンサーが発表されました。Nature Communicationsに掲載された論文によると、研究チームは1.5ミリメートル四方という米粒よりも小さなスペースに、なんと1,027個もの微小なレンズを並べることに成功しました。

このセンサーは「bio-CE」と名付けられています。最大の特徴は、私たち人間のような「単眼」ではなく、昆虫のような「複眼」構造を採用していることです。これにより、視点を動かさなくても180度という広範囲(パノラマ視野)を瞬時に見渡せます。

この微細な構造を作るために使われたのが、「フェムト秒レーザー」を用いた3D加工技術です。極めて短いパルスのレーザーで材料を精密に成形することで、光学部品の劇的な小型化と高密度化を実現しました。

👃 「見る」と「嗅ぐ」を同時にこなす設計

このデバイスがすごいのは、ただ目が見えるだけではありません。視覚と一緒に「人工的な嗅覚」も統合されているのです。

研究チームはインクジェット印刷技術を用い、特定の化学物質に反応するセンサーを組み込みました。これは、有害ガスなどを検知すると色が変化する仕組みです。つまり、ロボットはこのセンサー1つで、障害物を見て避けながら、同時にガス漏れなどの異常も「視覚情報として」察知できるようになります。

機能を1つに集約した最大の理由は、ドローンやマイクロロボットを極限まで軽くするためです。

別々の装置を積むと重くなってしまいますが、視覚と化学検知の装置を一体化すれば、重量を大幅に削減できます。狭い場所を飛ぶドローンにとって、この軽さは大きな武器になります。

🚧 過酷な環境でこそ真価を発揮

さらに、このセンサーにはユニークな工夫が施されています。レンズとレンズの間に、「setae(セタ)」と呼ばれる微小な人工の「毛」が生やされているのです。

この毛の役割は、湿気や汚れからレンズを守ることにあります。

災害現場や倒壊した建物の内部は、湿気が多かったり粉塵が舞っていたりと過酷な環境です。レンズの曇りや汚れは致命的ですが、この毛がガード役となることで、厳しい環境でも性能を維持できると期待されています。

小型ロボットを用いた実証実験では、障害物を避けたり、移動する物体を認識したりすることに成功しました。

もちろん課題もあります。現時点では撮影できる画像の解像度がまだ低く、化学センサーの反応速度にも改善の余地があります。また、曲面レンズ特有の画像のゆがみを直すための計算処理も必要です。

それでも、これらの課題をクリアできれば、将来的には生存者の捜索や化学物質の漏出検知など、危険な場所での過酷任務をロボットが安全に担ってくれるようになるでしょう。

※この記事は、関連報道に基づき作成しています。

【参考URL】https://www.nature.com/articles/s41467-026-68940-0
【参考URL】https://advanced.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/advs.202204072
【参考URL】https://www.mlit.go.jp/en/koku/uas.html
【参考URL】https://www.nist.gov/el/intelligent-systems-division-73500/standard-test-methods-response-robots