あんかけ揚げそば
あんかけ揚げそば
<和風あんかけ 体ポカポカ>
京都ノートルダム女子大名誉教授・鳥居本幸代さんに季節の精進料理や京都の暮らしなどを教えてもらう第4水曜日の「京の精進ごよみ」。今回は、お寺と縁深いそば料理を紹介する。(山本美菜子)
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日本人の食生活におなじみの麺類ですが、中でもそばは修行中の僧侶から参詣者のおなかまでを満たしてきました。善光寺そばや永平寺そばとして知られるように、寺院の門前にはそば屋が並び、天台宗の総本山・比叡山延暦寺の門前町である大津市坂本にもそうした光景が残ります。法要などでも精進料理のお膳で、汁物として出されることもあります。
密教では、米や麦など五つの穀物を食べない「五穀断ち」という修行があります。そばは五穀に含まれないため、修行僧の大切な栄養源となってきました。用いられるのは小麦などを混ぜない十割そばで、「寺方そば」と呼ばれます。
諸説ありますが、簡単にそばの来歴をご紹介しましょう。
現在食べられているそばは、江戸初期に登場した「そばきり」です。そば自体は奈良時代以前に伝来しましたが、長らくそばの実のおかゆや、そば粉を餅状に練った「そばがき」として食されてきました。古くから麺類として親しまれてきたうどんやそうめんとは異なり、そばが麺状となったのは江戸初期なのです。生育が早く、どんな土地でも栽培しやすいそばは、寒冷地の開拓が進んだ江戸時代に重宝され、生産量も増えました。
さて、関東はそば、関西はうどんを好むとされますね。京都人もうどん派が多く、かくいう私もうどん派。かけそばやざるそばは、ちょっと物足りなく感じます。
今回ご紹介する「あんかけ揚げそば」は、そんな物足りなさを逆転させるような、ひと味違ったそばをお寺で楽しんでもらいたいという思いから作りました。
お寺で出すと、そばを揚げるという意外性が受け、ショウガの風味が利いたあんも好評でした。あんは、中華風も試しましたが、やはり少し甘辛い味付けの和風あんの方が合いました。ニンジンや絹さやで彩りを添え、ショウガで味をぐっと引き締めます。そばは半玉ずつラップに包んで丸く成形し、網じゃくしに入れたまま揚げると上手にできるでしょう。
冬場の冷え込みもあって、京都人は体の温まるあんかけを好みます。豆腐やうどんなど、あんをかけるメニューは多いです。少しずつ冬の足音が聞こえてくるこれからの季節、皆さんも自由に楽しんでみてくださいね。
